2022/09/22 10:55
まだ残暑を感じる2022年9月10日〜11日。
東京にて「ELEPHAS創刊記念の催し」を行いました。
9月5日に創刊を迎えたインディペンデントマガジン『ELEPHAS』。
この本を共に作ってくださった方々をはじめ、創刊まもない『ELEPHAS』を気に留めてきてくださったみなさま。
100名をこえる、想像以上に多くのみなさまにお越しいただいた「『ELEPHAS』創刊記念の催し」の様子を、ここで少しばかりご紹介させていただきます。
///////////////////////////////////////////
会場は、東京 浅草にあるギャラリー、es quart
es quartは、独自の審美眼により年代や国籍を問わず後世へと残していきたいものを選び、提案する場所。
PHILOSOPHIAは「美しいを哲学する」をテーマとし、独自の視点で「美しい」という多様で答えのない概念を探求していく活動体であり、「美しいを哲学する」とは、人の奥底に眠る美欲を呼び起こすことでもあります。
得も言われぬご縁を感じ、この場をお借りして開催という運びとなりました。
看板がなければ見落としてしまいそうな古びた建物の一角に、その入り口はあります。
少し重たい墨色の扉を開けると、2階へと続く階段。
階段を登ると広がるのは、ELEPHASが文字や写真、紙の上の世界から空間へと浮かび上がる世界です。
ELEPHAS#1を制作する中で、私たちはたくさんの美しいと思える人やもの、光景に出逢い、心震える体験をさせていただきました。
それは、想像していた以上の味わい深いものだったのです。
できるかぎりその様が紙面から伝わるよう、心を尽くし、1冊に仕立ててまいりました。
そしてできることならば、私たちが出逢った美しい人、ものたちを平面の世界を越えて、みなさまにも体感していただきたい。
五感で味わっていただきたい。
これが、創刊記念の催しを開催するきっかけとなった想いのひとつです。
[展示作品:表紙絵の原画 / 熊谷隼人]
ELEPHASの表紙を飾る、画家 熊谷隼人さんの原画。
ご本人が、北海道から原画をお持ちくださいました。
原画だからこそ、そのままを観ていただきたいと額装はせずに展示。
どこまでも近づき、細部まで味わい尽くせる時間。
[展示作品:植物の面 / 鈴木明子(密林東京)]
密林東京 鈴木明子が植物から生み出したお面を纏い、踊り手 北村思綺が与那国島で踊る。
その時間で2人が感じ考えたことを語り合う特集「生命を纏う」より、実際に使用したお面の展示です。
対談でも語り合われていた、どこまでがいきていて、どこからがなくなっているのか。その境界線が曖昧であること。
撮影当時に比べて、面は朽ちた色合いでした。
しかしまだなお続く変化こそが、生きているようにも感じさせる植物の面です。
[展示作品:苔の茶席 / 苔は幸山明良さんの山より]
特集「牛と私の生きる山」幸山明良さんの山から届けていただいた10種類以上の苔。
苔を食す。とても印象深い体験をした雨の取材時間に思いを馳せながら、多種多様な苔を茶席に設えました。
[飲食:無花果、赤ワイン、マスカルポーネの錦玉羹 / 植物料理家きみえ]
[飲食:カルダモンを煮出したルイボスティ]
植物料理家きみえさんに、本展に向けて特別に無花果、赤ワイン、マスカルポーネの錦玉羹をご用意いただき、そのお菓子を茶席にてお出しいたしました。
錦玉羹はお水がとても大事というきみえさんのお話から、お水は熊本県の池山水源のお水を取り寄せ、使っていただくことに。
池山水源とは、編集部がその美しさに感動した場所です。
火山の色でご紹介をした阿蘇坊窯 山下太さんの取材時に立ち寄りました。
お茶は、僭越ながらきみえさんのお菓子に合わせて編集部が煎れさせていただいたカルダモンを長時間煮出したルイボスティー。
こちらは日本画家 栗原由子さんの取材時に、アトリエでお出しいただき、忘れられなかった思い出から。
[飲食:クロモジを煮出したお茶]
ウェルカムドリンクは苔と同様、幸山明良さんの山からお届けいただいたクロモジを煮出したお茶を。
取材時に、編集部が森の中で香りを味わわせていただいたように、みなさまにも香りを味わっていただけたらと思い、その場で茶を煮出し、あえてあたたかいままでお出ししました。
///////////////////////////////////////////
[作品展示:火山の皿 / 阿蘇坊窯 山下太]
本誌「色と形と質感と」にてご紹介をした、阿蘇坊窯 山下太さんの火山の色のお皿を展示させていただきました。
九州 阿蘇山の麓。火山のある地で暮らし、それが制作の源泉でもある山下さんの器はどれも生命力に満ちています。
会場では、他三種類の器の受注販売もさせていただきました。
///////////////////////////////////////////
[展示:ELEPHAS制作過程・編集部のインスピレーションのもとになった本]
PHILOSOPHIAは当初、本の活動から始める予定ではありませんでした。
「美しいを哲学する」をテーマとする活動として、何をするのがいいのかを考え続けた2年半。
その歴史を垣間見れるような当時の資料から、本の制作過程の企画案や走り書きのメモまで展示いたしました。
また、創刊号に関する書籍や親和性の高い本の一部を閲覧用として並べさせていただきました。
すばらしい本を作ってくださったみなさまに敬意を込めて。
///////////////////////////////////////////
ELEPHASの誌面や、今回の催しに関係するみなさまにご用意いただいた品物、そして編集部で1つずつ仕立てたELEPHASオリジナルの品を、並べさせていただきました。
・表紙絵のハンカチ
・表紙絵の平包
・ロゴのポストカード(活版印刷 / PRINT×PLANT)
・表紙絵のポストカード(リソグラフ印刷 / PRINT×PLANT)
・anan coffee コーヒー豆
・火山の皿 / 阿蘇坊窯 山下太
・植物の琥珀糖 /植物料理家 きみえ
///////////////////////////////////////////
当日は、この空間でさまざまな過ごし方をしてくださる方がいて、場を設けたことの喜びを感じました。
編集部にお祝いの言葉をかけてくださった方、感想を伝えてくださった方。
クロモジ茶を飲みながらソファでゆっくり原画を眺めてくださった方。
本を真剣に読んでくださった方、じっくり展示を見てまわってくださった方、品物を手に取り吟味してくださった方。
また、初日に在廊くださった表紙絵の熊谷さんと話し込む方や、きみえさんの特別なお菓子をご友人と愉しげに味わってくださった方も。
自分たちだけではなく、さまざまな方のご協力があり、この時間があったことを噛みしめる時間となりました。
ELEPHASの制作や本催しにご協力くださったみなさま、当日来場くださったみなさま、心を寄せてくださったみなさま、ありがとうございました。
今回の催しでご紹介しきれなかったすばらしい方も、すばらしい物もまだまだたくさんございます。
PHILOSOPHIAでは、五感でお楽しみいただけるような催しを、今後も開催できればと思っています。
「美しいを哲学する」をテーマに共感・共鳴できる方々とともに。
またいつかどこかでみなさまにお会いできることを楽しみにしております。